脂質はダイエット中も摂ったほうがいいの?脂質の重要性

ダイエット中は脂質が多い食品って控えた方が良いの?

脂質って太りそうなイメージなんだけど・・。

ダイエット中の方は痩せるために何を食べて何を食べないようにするかは常に気になる所です。

普段食事をする中で、多くの食品の中に含まれているのが脂質

脂質は太りそうなイメージがあるからなるべく脂質が多く含まれる食品は食べないようにしている人もいるのではないでしょうか?

この記事では脂質についてできるだけわかりやすく解説しています。読み進める事で脂質の重要性も理解できると思いますので最後まで読み進めてみて下さい。

脂質は身体に必要不可欠な摂るべき栄養素!ただし摂取過多は太る以外にもリスクがあるので摂り過ぎには注意が必要!

三大栄養素のカロリー
  • タンパク質 1g=4kcal
  • 糖質 1g=4kal
  • 脂質 1g=9kcal

脂質は3大栄養素の1つとして、人が生き続ける為に必要不可欠な栄養素です。身体の中で糖質と共に身体を動かすためのエネルギー源として使われています。

糖質やタンパク質と比べると同じグラム数で脂質は1gあたり9kcalと倍以上のカロリーがあります。なので備蓄用としても適しているため、余剰分は体脂肪として身体の中に蓄えられます。

なので食べ過ぎれば身体は大昔と変わらず現代においても、万が一の飢餓時に備えて容赦なく備蓄用に体脂肪として蓄えようとするので、脂質の摂り過ぎには注意が必要です。

1日当たりの摂取カロリーの3大栄養素に対する脂質の摂取比率は男女ともに20~30%程が望ましいです。脂質を全く摂らなくなると身体に様々な問題が生じてきます。

エネルギー源になるだけじゃない!脂質の大切な役割

脂質はエネルギー源としての大切な役割以外にも、身体の中で大切な役割を担っています。

①リン脂質は何十兆個もある全身の細胞膜の主要な構成成分として使われています。

②脂質の1種であるコレステロールを原料にしてステロイドホルモンが作られます。性ホルモンであるテストステロンエストロゲン、ストレス対抗ホルモンであるコルチゾールもコレステロールを原料にして作られます。

③脂肪を乳化して膵リパーゼの働きを助ける胆汁酸の原料になります。

④食物からのカルシウム吸収を促し、骨を健康に維持したり骨粗しょう症を防ぐのに働くビタミンDの前駆体としても使われています。

⑤脳は水分を除くと約6割が脂質とも言われています。


これらのことからもわかるように人にとって脂質は無くてはならない栄養素であることに間違いありません。太るからと言って極端に脂質を減らす事は、上記に挙げた脂質の大切な役割を不足させる事に繋がり、身体が正常に機能できなくなるので脂質を適量摂取することが大切です。

脂肪酸はバランス良く摂る

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

食事から摂取する脂質の約90%は中性脂肪です。中性脂肪は分子構造だと1つのグリセロールと3つの脂肪酸が結合した形(トリグリセリド)で、食物中に最も多く含まれているエネルギーの貯蔵形態です。食事で体内に摂り込まれた中性脂肪(トリグリセリド)は消化され脂肪酸・グリセロール・モノグリセリドとして小腸で吸収されて、一部はトリグリセリドに再合成され、カイロミクロンとしてリンパ管を通って全身に運ばれます。全身を巡る間に脂肪酸に分解されて各組織に取り込まれてエネルギー源となったり、体脂肪としても取り込まれます。ちなみに脂質として体内に蓄えられている内の90%が中性脂肪です。

この脂肪酸には炭素の結合構造や状態によって飽和脂肪酸不飽和脂肪酸に大別され、それぞれ特徴が異なります。

飽和脂肪酸

牛や豚の油や鶏皮、バター、ココナッツオイル、カップラーメン、生クリームなどに多く含まれています。

飽和脂肪酸は融点が高いという特徴があるので、常温で固体化する為、肉眼でも確認できます。フライパンでお肉を焼いてそのまま放置して次の日、フライパンに固体状に残っている白い油を見た事がありませんか?

飽和脂肪酸は肉類の脂身など動物性脂肪に多く含まれ、摂取が多くなるほど血中の総コレステロールと悪玉のLDLコレステロールを増やすことになり、動脈硬化や心筋梗塞などのリスクが高まります。しかし、牛肉や豚肉には筋肥大に必要な必須アミノ酸や牛肉には亜鉛、豚肉にはビタミンB1などの大切な栄養素も含まれている為、適量は摂りたいところです。また日本人を対象にしたある研究では、飽和脂肪酸の摂取量が少ないと脳出血罹患率の増加が認められたとのことです。飽和脂肪酸には脳出血の予防効果があるとのことです。飽和脂肪酸が不足すると血管がもろくなるため、脳卒中の原因になると考えられます。飽和脂肪酸は普段の食生活で比較的摂りがちな脂質ですし体内でも合成できますので、過剰摂取は避けたいですが、適量を摂取することで健康維持にも繋がります。厚生労働省が出している【2020年版の日本人の食事摂取基準】によると飽和脂肪酸の目標摂取量を成人・高齢者の場合は総エネルギーの7%上限としています。

●不飽和脂肪酸 

不飽和脂肪酸は植物性の食用油や魚油に多く含まれ、悪玉コレステロールを減らす作用があります。

不飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸に分けられます。

○一価不飽和脂肪酸

オリーブオイル、菜種油(キャノーラ油)、ラード、アボカド、アーモンドなどの種実類に多く含まれるオレイン酸が代表的です。一価不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸の代わりに摂ると動脈硬化の原因となる悪玉(LDL)コレステロールを減らし、動脈硬化の防止に役立つ善玉(HDL)コレステロールはそのまま維持させる効果があります。よって動脈硬化や高血圧を予防する効果があります。多価不飽和脂肪酸よりも酸化されにくい性質を持ちますので、調理用油としても重宝します。

○多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)

多価不飽和脂肪酸は体内で作る事ができない必須脂肪酸で、魚の油やごま油やクルミに含まれています。

多価不飽和脂肪酸は、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸に分けられます。一価不飽和脂肪酸と同様に動脈硬化の予防効果があります。オメガ3脂肪酸の中のDHAは記憶力の向上など脳の機能向上や目の網膜にも良い働きをもたらしてくれます。そのほか血栓の予防やアレルギー症状の改善、心筋梗塞の予防など身体に良い効果をもたらしてくれます。

全ての脂肪酸をバランス良く摂る

どの脂肪酸も身体を健康的に機能させるためには必要な栄養素なので摂取する必要があります。ただし脂質ですので摂り過ぎれば肥満の原因になりますし、飽和脂肪酸の過剰摂取は動脈硬化になる可能性が上がるので過剰摂取には注意が必要です。どの脂肪酸も偏り過ぎずにバランスよく摂取することが大切です。日々の食生活では、飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の割合を3:4:3で摂る事が望ましいとされています。脂質を上手にバランス良く摂って健康維持に繋げましょう。

必須脂肪酸が不足しないように食事から摂る

タンパク質の最小単位であるアミノ酸にも体内で合成できないアミノ酸(必須アミノ酸)があるように、脂質の最小単位である脂肪酸にも体内で作る事ができない脂肪酸(必須脂肪酸)があります。必須脂肪酸は体内で作り出す事ができないので、不足しないように食事から摂る必要があります。ここでは必須脂肪酸の種類と身体に与える効果についてお話していきます。

必須脂肪酸の種類と効果

人間の大切なエネルギー源であり脂質の主成分である脂肪酸には炭素の結合構造によって種類が分かれ、それぞれ特徴が異なります。

体内で作る事ができない必須脂肪酸は不飽和脂肪酸の多価不飽和脂肪酸になります。

多価不飽和脂肪酸は2種類

1⃣オメガ3系脂肪酸

α-リノレン酸 ⇒ えごま油や亜麻仁油に含まれる

 α-リノレン酸は体内でDHAおよびEPAにも変換される(変換率は10~20%程度)

DHA(ドコサヘキサエン酸)⇒ 青魚(特にブリ、サバ、サンマ、イワシ)うなぎなどに含まれる

脳の神経細胞を活性化し情報伝達をスムーズにする働きがあり、脳機能を活性化させ記憶力や言語能力などの認知機能、行動能力にも好影響をもたらすと言われています。

EPA(エイコサペンタエン酸)⇒ DHAと同じく青魚やうなぎなどに含まれる

血液の凝固を防ぎ、血液中の中性脂肪を減らす働きもあります。体内の炎症を抑制する働きもある。

オメガ3系脂肪酸は血小板の凝集を抑えたり、血管をしなやかにして血液をサラサラにして血行を良くするなどの働きがあります。心疾患や脳疾患の原因である血栓に対しても効果があるため、血流改善に対して非常に効果的な成分です。更にコレステロールや血圧を下げる効果があります。しかし、酸化しやすいデメリットがあるので、えごま油などは開封後は酸化する前になるべく早く使い切ると良いです。質の良い油を摂るという観点からオメガ3系脂肪酸はおススメの脂肪酸ですが、脂質なので摂り過ぎには注意です。オメガ6系脂肪酸とバランス良く摂取しましょう。

DHA・EPAには筋肉に対する効果も

最近では筋肉に対する効果も注目されています。

DHA・EPAを摂取することで、筋肉の合成や筋トレによる筋力アップ効果がより高まったという研究報告が複数発表されているそうです。これはオメガ3系脂肪酸が筋肉の細胞膜に働きかけた結果、筋トレ効果の反応が高まった可能性が考えられています。

2⃣オメガ6系脂肪酸

リノール酸 ⇒ひまわり油、綿実油、コーン油、ごま油、くるみなどに含まれる

悪玉のLDLコレステロール値を下げる効果を持っています。しかし、多く摂取してしまうことでリノール酸は善玉(HDL)コレステロールを減らすことがわかってきました。善玉コレステロールは余分なコレステロールを回収して、血管内を掃除する役割をもつので、善玉コレステロールを減少させすぎると血流が悪くなり、動脈硬化などの病気につながるため、過剰摂取しないようにバランスが大切です。

●γリノレン酸 ⇒ リノール酸から体内でも作られる

アラキドン酸 ⇒ 豚レバー、牛レバー、卵などにも含まれる (リノール酸から体内でアラキドン酸を作り出す事も出来る)

γリノレン酸やアラキドン酸は人体をコントロールする生理活性物質のプロスタグランジンを生成する材料になります。このプロスタグランジンによって体の機能がコントロールされるため、アレルギー症状の緩和に繋がります。アラキドン酸はアレルギー症状の改善や予防に効果がありますが、一方で過剰摂取によってもアレルギー症状が出てしまう恐れがあります。不足すると免疫力の低下につながります。γリノレン酸は血栓を解消し、血流を良くすることで動脈硬化の予防に効果があります。アラキドン酸はコレステロール値の低下や血圧の調整を行うため、高血圧の予防に繋がります。

オメガ6系脂肪酸の過剰摂取に気をつけて、バランス良く摂る事が大切

必須脂肪酸は身体にとって様々な良い働きがある必須エネルギー源でありながら体内で合成できない上に、オメガ3系脂肪酸もオメガ6系脂肪酸もそれぞれが別の働きをするのでバランス良く意識して摂るようにしましょう。

オメガ6系脂肪酸は身体にとって良い効果をもたらしますが、上記のように摂り過ぎると良くない働きもありますので、オメガ3系脂肪酸とバランス良く摂取するを意識して摂るようにしたいものです。

参考書 筋肉をつくる食事・栄養パーフェクト事典

参考サイト 健康サイトを参考